外部診断で、古いTLSバージョンと暗号スイートが有効だと指摘された。切れば評価は上がるが、倉庫の古い端末が接続できなくなる可能性がある。安全性と業務継続を、設定一行では決められなかった。
律はアクセスログとTLS終端の統計から、古い方式を使うクライアントを特定した。全体の一パーセント未満だが、毎日使われる端末が三台ある。瀬名は端末担当へ連絡し、更新計画と代替手段を確認した。
二人はまず不要な暗号だけを無効化し、警告期間を設けた。古い端末を更新した翌週にTLS 1.0と1.1を停止する。変更前後の設定をスキャナだけでなく、実際の主要クライアントでも試験した。
「正しいから今すぐ切る、では足りないんですね」瀬名は変更票に移行対象を書き足した。
律は例の付箋へ目をやった。「切らなければ危険なものもある。でも、準備なしに切れば、取り残す人が出る」
技術の判断と同じように、過去を手放すにも影響確認と移行期間が要るのだろう。
人物紹介
瀬名悠真
- 男性、30代
- サーバ運用・インフラ担当
- 手は動くが、初動で少し焦りやすい
久坂律
- 女性、30代
- 監視、自動化、ログ解析、運用設計に強い
- 冷静で、原因調査の順序を大事にする

