AIエージェントを使って、
- Windows上のファイルを整理する
- フォルダ内の文書をまとめて処理する
- ブラウザを開いてWebサイトを操作する
- ログイン済みサイトで情報を確認する
- ファイルをダウンロードする
- Windowsアプリをクリック・入力して操作する
といったことをしたい人は増えていると思います。
しかし、「AIエージェント」と呼ばれる製品でも、実際にWindows PCをどこまで操作できるかはかなり違います。
今回は2026年9月時点で、Windows操作という観点から、
- ChatGPT Work / Codex
- Microsoft Copilot
- Claude Desktop
- OpenClaw
を比較してみます。
結論から先に書くと、
設定の簡単さまで含めるなら、現在はChatGPT Work / Codexが最も扱いやすい候補です。
Windowsとの親和性を重視するならMicrosoft Copilotも有力です。
一方、OpenClawは自由度が非常に高いものの、自分でGateway、Node、権限、Sandboxなどを管理する必要があり、初心者向けとは言いにくいです。
まず「Windows操作」には3種類ある
一口にWindows操作と言っても、実際には大きく3種類あります。
1. ファイル操作
例えば、
DownloadsフォルダにあるPDFを分類して
このフォルダのExcelファイルを全部確認して一覧を作って
画像を年月別のフォルダへ整理して
といった操作です。
ここではAIがローカルファイルへアクセスできる必要があります。
2. ブラウザ操作
例えば、
このサイトにログインして最新の請求書を確認して
商品価格を調べて比較表を作って
Web管理画面からCSVをダウンロードして
といったものです。
こちらはAIがブラウザを見て、
- クリック
- スクロール
- 入力
- タブ切り替え
- ファイルダウンロード
などを行える必要があります。
3. Windows GUI操作
さらに一歩進むと、
Windowsの設定画面を開いて
このデスクトップアプリに文字を入力して
エクスプローラーでファイルを移動して
といった、通常のWindowsアプリそのものを操作するComputer Useが必要になります。
この3つを分けて考えると、AIエージェントを選びやすくなります。
1位候補:ChatGPT Work / Codex
現在、最初に試してみるならChatGPT WorkまたはCodexがかなり有力です。
ChatGPTのWindowsデスクトップアプリでは、Workが許可されたローカルファイルやデスクトップアプリを扱えるようになっています。
ローカルファイルを扱える
ChatGPT Workでは、Windowsデスクトップアプリからローカルフォルダやプロジェクトを開き、必要なファイルへのアクセスを許可できます。
つまり、
このプロジェクトフォルダを調べて
という使い方が比較的自然にできます。
Web版からWindows PC全体を直接読むわけではなく、デスクトップアプリで必要なフォルダへのアクセスを許可する形なのもポイントです。
専用ブラウザを持っている
現在のChatGPTデスクトップアプリには内蔵ブラウザがあります。
Windows版でも利用でき、
- Webページ閲覧
- タブ操作
- サインイン
- ファイルダウンロード
- ページ内容の確認
などをChatGPTと同じ画面で行えます。
内蔵ブラウザは独立したブラウザ状態を持つため、AI専用ブラウザとして使えるのが便利です。
既存Chromeも利用できる
すでにChromeへログインしていて、
普段使っているログイン済みサイトを操作したい
という場合は、Codex Chrome拡張機能を使う方法もあります。
公式にも、既存のChromeプロファイル、ログイン済みセッション、開いているタブ、Chrome拡張機能が必要な場合にはChrome側を使うことが案内されています。
これはかなり実用的です。
WindowsアプリをComputer Useで操作できる
さらにCodexはWindowsのComputer Useにも対応しています。
対応環境では、CodexがWindowsアプリを見て、
クリック
入力
画面確認
などを行えます。
つまり、
AI専用ブラウザ
+
ローカルファイル
+
Windows GUI
を1つの製品群でカバーできるようになってきています。
ChatGPT Work / Codexの長所
大きなメリットは、自分でGatewayやNodeを構築しなくてもよいことです。
基本的には、
ChatGPT Windowsアプリ
↓
フォルダを許可
↓
ブラウザを開く
↓
AIへ依頼
という流れです。
OpenClawのように、
Gateway
Node
Exec Approval
Sandbox
Companion
を個別に設定する必要はありません。
この違いはかなり大きいです。
注意点
Computer UseやWorkの利用可能範囲は、契約プランや組織設定によって変わります。
また、Windows PCへ無制限アクセスする仕組みではなく、ファイルやWebサイトへのアクセス時に権限確認が入ります。
この点は面倒というより、むしろ安全性の面ではメリットです。
2位候補:Microsoft Copilot
Windowsとの自然な統合という意味ではMicrosoft Copilotも有力です。
特にブラウザ操作については、Microsoft Edgeとの統合が強みです。
CopilotでWebページを直接操作
Microsoftには「Copilotで閲覧」という機能があります。
Copilotがブラウザ上で、
- 選択
- 入力
- ページ移動
- スクロール
などを直接行えます。
操作中のタブも確認でき、ユーザーが途中で制御を取り戻すこともできます。
ブラウザ中心の用途なら非常に分かりやすいです。
Windowsとの相性が良い
当然ながらMicrosoft自身がWindowsを開発しているため、
Windows
Edge
Microsoft 365
Copilot
という組み合わせは非常に自然です。
特に、
- Edge
- OneDrive
- Outlook
- Excel
- Word
- Teams
中心の環境なら、Copilotを優先して検討する価値があります。
弱点
Windowsファイルシステムを自由自在に扱う「汎用ローカルエージェント」として考えると、用途や契約によってできる範囲が変わります。
そのため、
C:\Work以下を全部スキャンして自動整理する
といった用途では、専用のローカルエージェントやChatGPT/Claude系のツール統合の方が向いている場合があります。
3位候補:Claude Desktop
Claude Desktopも、ローカルファイルをAIへ扱わせる方法として非常に面白い存在です。
現在のClaude DesktopにはDesktop Extensionsという仕組みがあります。
ローカルファイルやアプリに接続可能
Anthropicによると、Desktop ExtensionsはユーザーのPC上で動作し、Claudeから、
- ローカルファイル
- アプリ
- システムリソース
などへアクセスできる仕組みです。
公式の例にも、
DocumentsフォルダのPDFを全部要約する
デスクトップのファイルをプロジェクト別に整理する
といった用途があります。
これは今回の目的にかなり近いです。
MCPを使いやすくしたDesktop Extensions
以前Claude Desktopでローカルツールを使おうとすると、MCP Serverの設定を自分でJSONへ書く必要がありました。
現在はDesktop Extensionsにより、ブラウザ拡張機能のようにインストールできる仕組みへ改善されています。
つまり、
Claude
+
Filesystem MCP
を以前より簡単に構築できます。
Claude Desktopが向く人
Claudeは、
ローカルファイルを読む
↓
大量の文書を理解する
↓
整理・要約する
↓
別のツールへ渡す
といったワークフローに向いています。
特にMCPを活用したい人には魅力があります。
一方、
Windows画面を見ながらマウス操作する
という純粋なComputer Useを主目的にするなら、現時点ではChatGPT Codex側の方が分かりやすい選択肢です。
4位:OpenClaw
OpenClawは少し性格が異なります。
「簡単にWindowsを操作する」という基準では順位を下げましたが、自由度は最も高い部類です。
OpenClawの強み
OpenClawでは、
Agent
↓
Gateway
↓
Node
↓
Windows / macOS / Linux
という構成を作れます。
Windows CompanionをNodeとして接続すれば、
- system command
- browser
- screen
- device
- location
- camera
などのCapabilityを利用できます。
また、ブラウザ専用の管理プロファイルもあり、Chrome、Edge、Brave、Chromiumなどをエージェント用ブラウザとして操作できます。
OpenClaw 2026.9.2では、選択したDesktop Nodeを維持したり、再接続後も同じマシンを使ったりするComputer Use周辺の改善も入っています。
Chromeのログイン済みタブも操作可能
OpenClawではChrome DevTools MCPを使い、実際にユーザーが使っているChromeセッションへ接続する方法もあります。
また、Chrome拡張機能経由で選択したタブだけをOpenClawへ渡す仕組みもあります。
ブラウザ自動化だけを考えれば、かなり強力です。
最大の弱点は設定の複雑さ
一方、Windows Companionを使った実機検証では、
Gateway
↓
Node pairing
↓
Node approval
↓
tools.exec
↓
Gateway approval
↓
Session exec policy
↓
Windows Companion approval
↓
MXC / AppContainer
という複数レイヤーを確認する必要がありました。
さらに、
echo
は正常実行できたものの、
hostname.exe
では、
アクセスが拒否されました
となる環境依存問題にも遭遇しました。
つまり、
できることは多いが、「入れたらすぐWindowsを自由に操作できる」という製品ではない
という印象です。
比較表
| AIエージェント | ローカルファイル | ブラウザ | Windows GUI | 導入しやすさ | 自由度 |
|---|---|---|---|---|---|
| ChatGPT Work / Codex | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ○ |
| Microsoft Copilot | ○ | ◎ | ○〜◎ | ◎ | △ |
| Claude Desktop | ◎ | ○ | △ | ○ | ◎ |
| OpenClaw | ◎ | ◎ | ◎ | △ | ◎◎ |
※機能はプラン、地域、ロールアウト状況、管理者設定によって変わります。
ブラウザ操作だけならChatGPTかCopilot
目的が、
サイトを調べる
フォームへ入力する
ファイルをダウンロードする
ログイン済みページを操作する
程度なら、現在はOpenClawまで導入する必要はあまりないと思います。
ChatGPTデスクトップアプリには専用ブラウザがあり、タブをまたいだ操作、ログイン、ダウンロードまでできます。
Microsoft Edge中心ならCopilotも非常に自然です。
ファイル操作ならChatGPT WorkかClaude Desktop
ローカルファイルを中心に、
大量の資料を読む
分類する
要約する
書き換える
新しいファイルを作る
という仕事を任せたい場合は、
ChatGPT Work
または、
Claude Desktop + Desktop Extensions
が候補になります。
ChatGPT Workはローカルフォルダへのアクセスを許可できます。
Claude DesktopもDesktop Extensionsを通してローカルファイル、アプリ、システムリソースを扱えます。
Windowsそのものを操作したいならCodexが有力
今回最も気になっている、
Windowsアプリを開く
↓
画面を見る
↓
クリック
↓
入力
↓
ファイルを操作
というComputer Useについては、現在かなり有力なのがCodexです。
Windows Computer Useでは、AIがWindowsアプリを見てクリック・入力できます。
この部分を自前でOpenClaw Nodeとして構築するのと比較すると、導入コストの差はかなり大きいです。
OpenClawは「完成品」というよりエージェント基盤
今回実際にOpenClawを触って感じたのは、OpenClawをChatGPTやCopilotとそのまま比較するのは少し違うということです。
ChatGPTやCopilotが、
完成されたAIアプリ
に近いのに対し、OpenClawは、
自分専用AIエージェント環境を構築する基盤
に近いです。
そのため、
Mattermostから操作したい
独自モデルを使いたい
モデルを自動フォールバックしたい
複数PCをNodeとして登録したい
独自ツールを追加したい
24時間動くGatewayを構築したい
という用途ならOpenClawが非常に面白くなります。
逆に、
Windowsのファイルを整理したい
Webサイトを操作したい
というだけなら、より簡単な製品を使った方が効率的です。
現時点でのおすすめ
用途別に選ぶなら、次のようになります。
とにかく簡単にWindowsをAIで操作したい
ChatGPT Work / Codex
ローカルファイル、ブラウザ、Computer Useをまとめて扱いやすいのが最大のメリットです。
EdgeやMicrosoft 365中心
Microsoft Copilot
Windows + Edge + Microsoft 365との相性を重視するなら有力です。
ローカルファイルとMCPを重視
Claude Desktop
Desktop Extensionsによってローカルファイルやツールとの連携がかなり簡単になっています。
自分だけのAIエージェントサーバーを作りたい
OpenClaw
設定は複雑ですが、モデル、Node、ブラウザ、チャットサービス、ツールなどを自由に組み合わせられる点では圧倒的です。
個人的にはまずChatGPT Work / Codexを試したい
今回OpenClawからWindows Companionを操作するところまで検証しましたが、Windows側のSandbox周辺まで調べる必要があり、想像していたより時間がかかりました。
AIエージェントを利用する目的は、
「PC操作を楽にすること」
です。
そのため、
AIを動かすための設定
に何時間も費やすようになると、本来の目的から少し離れてしまいます。
そこでWindows操作だけを目的とするなら、まずChatGPT Work / CodexのWindows版Computer Useを試し、その次にCopilotやClaude Desktopを比較するのが現実的だと思います。
OpenClawについては、
AIエージェント環境そのものを作ることを楽しみたい
場合に改めて使うのがよさそうです。
まとめ
2026年9月時点で、Windowsファイル操作やブラウザ操作をAIへ任せる場合、個人的な優先順位は、
1. ChatGPT Work / Codex
2. Microsoft Copilot
3. Claude Desktop
4. OpenClaw
です。
ただしこれはAI性能そのものの順位ではなく、
「Windows操作を始めるまでの簡単さ」を重視した順位
です。
OpenClawは最も下だから性能が低いわけではありません。
むしろ自由度だけなら非常に高く、
複数Node
独自モデル
独自チャット
自動化
ブラウザ操作
リモート操作
などを組み合わせたい人には魅力があります。
ただ、単純に、
WindowsファイルとブラウザをAIに操作してほしい
という目的なら、2026年現在は専用のデスクトップAIエージェントを使った方が、導入までの距離は短そうです。
