JP1/AJS3を運用していると、
「退避ボックスの一覧を確認したい」
という場面があります。
例えば、
- どんな退避ボックスが作成されているか確認したい
- 過去のバックアップ用ボックス名を確認したい
ajsrestoreを実行する前に、利用可能な退避ボックスを確認したい- 古い退避ボックスを整理したい
といったケースです。
そこで気になるのが、
「退避ボックス一覧を表示する専用コマンドはないのか?」
という点です。
結論から言うと、JP1/AJS3の公式コマンドを確認した限り、退避ボックス名の一覧だけを表示する専用JP1コマンドは見当たりません。
そのため、実際には退避情報ディレクトリをOSコマンドで確認する方法を使います。
結論:退避ボックス一覧専用コマンドはない
JP1/AJS3の退避関連でよく使うコマンドには、主に以下があります。
ajsbackup
ajsrestore
ajsbkudel
それぞれ役割は次のとおりです。
| コマンド | 用途 |
|---|---|
ajsbackup |
ユニットを退避する |
ajsrestore |
退避したユニットを確認・回復する |
ajsbkudel |
退避ボックスや退避ファイルを削除する |
しかし、これらを確認しても、
退避ボックス一覧を表示
という専用機能はありません。
つまり、
ajsxxxx -list
のような「退避ボックス名だけを一覧表示するコマンド」は、少なくとも公式マニュアル上では用意されていません。
ajsrestore -t は退避ボックス一覧ではない
間違えやすいのが、次のコマンドです。
ajsrestore -t -n 退避ボックス名
例えば、
ajsrestore -t -n BACKUP
と実行すると、指定した退避ボックス内に保存されている退避ユニットの情報を表示できます。
つまりこれは、
退避ボックス一覧
ではなく、
指定した退避ボックスの中身一覧
です。
ここは混同しやすいポイントです。
例)
ajsrestore -t -n 2026090901 0001:/subgroup:jobnet2:n
退避ボックス一覧はOSコマンドで確認する
JP1/AJS3の退避ボックスは、退避情報ディレクトリ配下のディレクトリとして管理されます。
UNIX/Linux環境の標準的な構成では、例えば次のようなディレクトリです。
/var/opt/jp1ajs2/backup/schedule
そのため、退避ボックス一覧を確認したい場合は、OSの ls コマンドを使います。
ls -l /var/opt/jp1ajs2/backup/schedule
名前だけ見たい場合は、
ls -1 /var/opt/jp1ajs2/backup/schedule
でも構いません。
例えば、
BACKUP
MONTHLY
BEFORE_PATCH
20260901
20260908
と表示された場合、それぞれが退避ボックスとして作成されているディレクトリです。
Windowsの場合
Windows環境では、退避情報ディレクトリを dir コマンドで確認します。
例えば、
dir "退避情報ディレクトリ"
と実行します。
具体的なディレクトリは環境によって異なるため、実際のJP1/AJS3設定を確認してください。
エクスプローラーから退避情報ディレクトリを開いて確認する方法でも構いません。
退避情報ディレクトリは環境によって違う
注意したいのは、
/var/opt/jp1ajs2/backup/schedule
が必ずしもすべての環境で使われているわけではないという点です。
JP1/AJS3では、環境設定によって退避情報ディレクトリを変更できます。
UNIX/Linuxでは、退避情報ディレクトリのルートに関連する設定として、
AJSBKUROOT
があります。
そのため、標準パスに退避ボックスが見つからない場合は、
現在の環境でどの退避情報ディレクトリが設定されているか
を確認する必要があります。
Windowsでは以下のようなコマンドで退避ボックスの位置を特定できました。
jbsgetcnf -c JP1AJSMANAGER | findstr "AJSBKUROOT" "AJSBKUROOT"="C:\ProgramData\Hitachi\jp1\jp1_default\JP1AJS2\backup\schedule"
ajsbackup は退避ボックスを作成・追加するコマンド
退避ボックス一覧表示用ではありませんが、退避時には ajsbackup を使用します。
例えば、新しい退避ボックスを作成してユニットを退避する場合には、-m オプションを使います。
概念的には、
ajsbackup -m -n 退避ボックス名 ...
という形です。
例)
ajsbackup -m -n newbkfolder AJSROOT1:/subgroup/jobnet2 KAVS0870-I ユニット(/subgroup/jobnet2)を退避ボックス(newbkfolder)へ退避します
新規のバックアップフォルダおよび指定した内容が既定の場所に作成されます。
既存の退避ボックスへ追加する場合には、
-a
を使用します。
例)
ajsbackup -a -n 2026090904 AJSROOT1:/subgroup/jobnet2 KAVS0870-I ユニット(/subgroup/jobnet2)を退避ボックス(2026090904)へ退避します
すでに退避済みのジョブネットが含まれていた場合は
ajsbackup -a -n 2026090901 AJSROOT1:/subgroup/jobnet2 KAVS0872-E ユニット(/subgroup/jobnet2)は既に退避してあります
となります。
つまり、
-m
=新規の退避ボックス
-a
=既存の退避ボックスへ追加
という役割です。
ただし、ajsbackup 自体に「現在存在する退避ボックスを一覧表示する」という機能はありません。
ajsbkudel は削除用
退避ボックスを削除するときは、
ajsbkudel -n 退避ボックス名
のように ajsbkudel を使用します。
例)
ajsbkudel -n 2026090904
これを実施すると、バックアップフォルダ内のジョブネットは消えますが、OS上の退避ボックス用ディレクトリ自体は残る場合があります。ただし、Viewの回復には出てこなくなります。
そのため、完全に消したい場合は、JP1コマンドで削除したあとにOSコマンドでディレクトリを削除します。
Linux/UNIXであれば、例えば次のような流れです。
ajsbkudel -n BACKUP
続いて、
cd /var/opt/jp1ajs2/backup/schedule
rmdir BACKUP
です。
つまり、
JP1上の退避情報を削除
↓
ajsbkudel
OS上の残ったディレクトリを削除
↓
rmdir
という流れです。
先にOSで中のファイルごとディレクトリを消してしまったあとに、同名のボックスを指定して削除しようとすると、当然エラーとなります。
ajsbkudel -n 2026090904 KAVS0851-E 指定した退避ボックス(2026090904)がありません
退避ボックス内の一部だけ削除することもできる
ajsbkudel は、退避ボックス全体ではなく、特定の退避ファイルだけ削除することもできます。
例えば、
ajsbkudel -n BOX1 0001
とすると、BOX1 の中にある退避ファイル番号 0001 を削除できます。
複数削除する場合は、
ajsbkudel -n BOX1 0001 0002 0003
のように指定します。
つまり、
退避ボックス全体を削除
→ ajsbkudel -n BOX1
退避ボックス内の一部だけ削除
→ ajsbkudel -n BOX1 0001
という使い分けです。
ajsbkudel 自体にも「現在存在する退避ボックスを一覧表示する」という機能はありません。
よく使う確認方法を整理
退避関連でやりたいことを整理すると、次のようになります。
| やりたいこと | 使用する方法 |
|---|---|
| 退避ボックスを作成する | ajsbackup |
| 既存退避ボックスへ追加する | ajsbackup |
| 退避ボックス一覧を確認する | ls / dir |
| 退避ボックス内のユニット一覧を確認する | ajsrestore -t -n ボックス名 |
| 退避ユニットを回復する | ajsrestore |
| 退避ボックスを削除する | ajsbkudel |
この表を覚えておくと混乱しにくくなります。
ディレクトリ一覧をより安全に確認するなら
退避情報ディレクトリ配下には、環境によっては退避ボックス以外の情報が存在する可能性もあります。
そのため、単純な ls だけでなく、ディレクトリだけを確認する方法も便利です。
Linuxであれば、例えば次のようにできます。
find /var/opt/jp1ajs2/backup/schedule \
-maxdepth 1 -mindepth 1 -type d
ディレクトリ名だけ表示したいなら、
find /var/opt/jp1ajs2/backup/schedule \
-maxdepth 1 -mindepth 1 -type d \
-printf '%f\n'
といった方法もあります。
環境やシェルによって利用できるオプションには違いがあるため、必要に応じて調整してください。
JP1/AJS3 – Viewでは一覧を確認できる
コマンドラインでは専用の一覧表示コマンドが見当たりませんが、JP1/AJS3 – Viewでは退避操作時に既存の退避ボックス名を確認できる画面があります。
そのため、
GUI
=退避ボックスを画面上で確認
CLI
=退避情報ディレクトリをOSコマンドで確認
という違いがあります。
GUIで確認できるため、
「コマンドでも同じ一覧を取得できるのでは?」
と思いやすいのですが、専用CLIコマンドとして同等の一覧表示機能があるわけではありません。
「退避ボックス」と「退避ユニット」を混同しない
JP1/AJS3の退避操作では、この2つを混同しやすいので注意が必要です。
例えば、
退避ボックス
└─ BACKUP01
├─ ジョブネットA
├─ ジョブネットB
└─ ジョブネットC
という状態だったとします。
この場合、
ls -1 /var/opt/jp1ajs2/backup/schedule
で確認するのは、
BACKUP01
です。
一方、
ajsrestore -t -n BACKUP01
で確認するのは、
ジョブネットA
ジョブネットB
ジョブネットC
に相当する退避内容です。
目的がまったく違います。
まとめ
JP1/AJS3で、
「退避ボックス一覧を表示したい」
場合、専用のJP1コマンドを探してしまいがちです。
しかし公式の退避関連コマンドを確認した限り、
退避ボックス名だけを一覧表示する専用コマンドはありません。
そのため、Linux/UNIXでは退避情報ディレクトリを、
ls -1 /var/opt/jp1ajs2/backup/schedule
などで確認します。
Windowsでは、
dir "退避情報ディレクトリ"
を使用します。
一方、
ajsrestore -t -n 退避ボックス名
は、
退避ボックス一覧ではなく、指定した退避ボックス内の退避内容を確認するコマンド
です。
整理すると、
退避ボックス一覧
↓
ls / dir
退避ボックス内の内容
↓
ajsrestore -t -n 退避ボックス名
と覚えておくと分かりやすいでしょう。
JP1/AJS3は、GUIでは一覧で確認できる情報でも、CLIでは専用コマンドが用意されておらず、OSコマンドで確認するケースがあります。
退避運用をシェル化する場合は、退避情報ディレクトリを正しく特定したうえで、ls や find と ajsrestore を組み合わせて確認する方法が実用的です。

