週末のフルバックアップを前に、DB用ボリュームの空きが一割を切った。追加ディスクは接続済みだが、まだOSから利用できない。オンライン拡張は可能でも、デバイス名やファイルシステムを取り違えれば、空きを増やすどころか本番を壊す。
瀬名は端末を共有し、律は変更票を読み上げた。`lsblk` で新規ディスクのシリアルを照合し、`pvs`、`vgs`、`lvs` で既存構成を確認する。バックアップジョブが動いていないこと、直前スナップショットの保存先が別系統であることも確かめた。
「対象、もう一度」
「新規PVはこのデバイス。拡張するLVはDBバックアップ領域。ルートではない」
声に出すと遅くなる。だが、取り返しのつかない操作では、その遅さが安全装置になる。ボリュームグループへ追加し、論理ボリュームを必要量だけ広げ、ファイルシステムに合った拡張コマンドを実行した。
監視と書き込み試験が通ったあとも、二人は十分間待ってI/Oを確認した。瀬名が「一人なら早く終わらせようとしていた」と認めると、律は変更票へ二人分の確認印を並べた。
「怖い作業は、二人で怖がればいいんです。怖くないふりが、一番危ないから」
瀬名は最初に二人で障害対応した夜から何度も教わったことを、ようやく自分の手順として覚えた。
人物紹介
瀬名悠真
- 男性、30代
- サーバ運用・インフラ担当
- 手は動くが、初動で少し焦りやすい
久坂律
- 女性、30代
- 監視、自動化、ログ解析、運用設計に強い
- 冷静で、原因調査の順序を大事にする

