仮想基盤から容量逼迫の警告が届いた。原因は、三か月前の改修時に作ったスナップショットだった。瀬名が保険のつもりで残した差分は成長を続け、データストアの空きを本番VMごと奪っていた。
律はすぐ削除せず、スナップショットの親子関係、現在のバックアップ、統合時に必要な一時容量を確認した。管理画面の「削除」は、単に捨てる操作ではない。差分を親へ統合するため、I/O負荷と追加領域が要る。
二人は利用の少ない時間帯を選び、バックアップの復元点を検証してから統合を開始した。瀬名が進捗率を見つめ続ける横で、律は監視値とストレージ遅延を記録する。九十九パーセントから動かない時間が、妙に長かった。
完了後、古いスナップショット名が一覧から消えた。瀬名は安堵しながら、律のディスプレイ横に貼られた色あせた付箋へ目をやった。数字と日付だけが書かれ、何度も剥がしては貼り直した跡がある。
「それも、残すと今を圧迫するものですか」
律は付箋を指で押さえた。「まだ、消すか残すかを決めるための情報が足りません」
瀬名はそれ以上聞かなかった。代わりにスナップショットへ有効期限と所有者を必須にするルールを書いた。残す判断にも、理由と期限が必要だった。
人物紹介
瀬名悠真
- 男性、30代
- サーバ運用・インフラ担当
- 手は動くが、初動で少し焦りやすい
久坂律
- 女性、30代
- 監視、自動化、ログ解析、運用設計に強い
- 冷静で、原因調査の順序を大事にする

