家庭のWi-Fiを使っていると、いつの間にか接続機器がかなり増えていることがあります。
スマートフォン、パソコン、テレビ、Fire TV、ゲーム機、タブレット、プリンター、スマートスピーカー、監視カメラ、スマート家電などを数えてみると、一般家庭でも20台、30台と接続されていることは珍しくありません。
そこで気になるのが、
Wi-Fiルーターに接続する機器が増えると、速度はどのくらい遅くなるのか?
という点です。
さらに、
接続台数が増えるとWi-Fiが切れやすくなるのか?
という疑問もあります。
結論から言うと、接続しているだけの機器が増えても、速度が単純に台数分だけ遅くなるわけではありません。
重要なのは、
「何台つながっているか」より、「何台が同時に通信しているか」
です。
今回は、Wi-Fiの接続台数と速度低下、切断しやすくなる条件について整理します。
- Wi-Fiは「接続台数」より「同時通信台数」が重要
- Wi-Fiは基本的に「みんなで順番に使う」
- 何台くらいから速度が落ちる?
- 例えば500Mbps出るWi-Fiを5台で使ったら?
- 電波の弱い機器が1台あるだけで遅くなることもある
- 2.4GHzは特に混雑しやすい
- 5GHzは高速だが距離に弱い
- Wi-Fi 6は多台数接続に強い
- 接続台数が増えると切断しやすくなる?
- 「最大接続台数100台」なら100台快適とは限らない
- IoT機器は台数が多くても影響が小さいことが多い
- 監視カメラは要注意
- スマホのクラウドバックアップも意外に重い
- 回線速度とWi-Fi速度は別物
- home 5Gのようなホームルーターではさらに注意
- 接続台数が多い家庭で改善する方法
- 有線LANにできるものは有線にする
- 結局、何台までなら大丈夫?
- まとめ
Wi-Fiは「接続台数」より「同時通信台数」が重要
例えば、Wi-Fiルーターに30台の機器が接続されているとします。
しかし、その30台のうち、
- 20台は待機状態
- 5台は軽い通信
- 5台が動画やダウンロード中
という状態なら、実際にWi-Fi帯域を大量に使っているのは一部だけです。
そのため、
接続台数30台
=
速度が1/30になる
というわけではありません。
逆に、接続台数が5台しかなくても、
PCで大容量ダウンロード
テレビで4K動画
ゲーム機でアップデート
スマホでクラウドバックアップ
を同時に行えば、かなり速度が落ちることがあります。
Wi-Fiは基本的に「みんなで順番に使う」
Wi-Fiは有線LANと少し性質が違います。
同じ周波数帯を使う端末同士は、基本的に電波を共有します。
イメージとしては、
Wi-Fiルーター
↓
スマホ
PC
テレビ
ゲーム機
タブレット
が1本の道路を順番に使っているようなものです。
通信中の機器が少なければスムーズですが、多くなるほど待ち時間が増えます。
特にWi-Fiでは「帯域」だけでなく、電波を使える時間=エアタイムを端末同士で奪い合います。
これが、接続機器が増えると速度が低下する大きな理由です。
何台くらいから速度が落ちる?
これはルーター性能やWi-Fi規格によって大きく変わります。
目安として考えるなら、家庭用ルーターでは次のような感覚です。
| 同時に通信する台数 | 状態の目安 |
|---|---|
| 1~5台 | ほぼ問題なし |
| 5~10台 | 通常利用なら問題なし |
| 10~20台 | 動画・ゲーム・大容量通信が重なると影響が出やすい |
| 20~30台 | 安価なルーターでは遅延や速度低下が目立つ場合あり |
| 30台以上 | ルーター性能・Wi-Fi規格・電波環境の影響が大きくなる |
ただし、これは「接続台数」ではなく、ある程度通信している機器の台数として見る方が適切です。
IoT機器のように、ほとんど通信しない機器が50台つながっていても、それだけで必ず遅くなるわけではありません。
例えば500Mbps出るWi-Fiを5台で使ったら?
仮に1台だけで通信したときに、
500Mbps
出る環境があったとします。
5台が完全に同じ量を同時通信すれば、単純計算では、
500Mbps ÷ 5台
= 約100Mbps/台
になります。
しかし実際には、
- Wi-Fi制御通信
- 再送
- 電波干渉
- 端末ごとの通信速度差
- TCP/IPなどのオーバーヘッド
があるため、きれいに100Mbpsずつにはなりません。
例えば、
80Mbps
90Mbps
110Mbps
70Mbps
100Mbps
のようにばらつくこともあります。
さらに1台だけ電波状態が悪いと、全体へ影響する場合があります。
電波の弱い機器が1台あるだけで遅くなることもある
これは意外と重要です。
例えば、
ルーター近くのPC
→ 500Mbps
離れた部屋のスマホ
→ 20Mbps
という状態だったとします。
遅いスマホは同じデータ量を送るのに長い時間電波を占有します。
つまり、
高速端末
→ 短時間で通信終了
低速端末
→ 長時間Wi-Fiを占有
となります。
そのため、遠い部屋にある古い端末や電波状態の悪い機器が通信していると、ほかの端末まで速度が落ちることがあります。
これをWi-Fiでは「エアタイムを消費する」と考えると分かりやすいです。
2.4GHzは特に混雑しやすい
Wi-Fiには主に、
2.4GHz
5GHz
6GHz
があります。
この中で特に混雑しやすいのが2.4GHzです。
2.4GHzは、
- Wi-Fi
- Bluetooth
- 電子レンジ
- ワイヤレス機器
- 近所のWi-Fi
などと干渉しやすい周波数帯です。
しかも利用できるチャンネル数が少ないため、住宅密集地ではかなり混雑します。
そのため、
IoT機器
スマート家電
古いスマホ
プリンター
などが大量に2.4GHzへ集中すると、接続台数以上に通信効率が悪化することがあります。
5GHzは高速だが距離に弱い
5GHzは2.4GHzより高速で混雑しにくいですが、壁や距離に弱い特徴があります。
そのため、
ルーターの近く
→ 速い
別の部屋
→ 急に遅くなる
ということがあります。
接続台数が多い家庭では、
速度が必要な機器
→ 5GHz / 6GHz
IoT機器
→ 2.4GHz
のように分散すると安定しやすくなります。
Wi-Fi 6は多台数接続に強い
接続機器が多い家庭では、Wi-Fi 6対応ルーターが有利です。
Wi-Fi 6では、
OFDMA
MU-MIMO
などの技術により、複数機器との通信効率が改善されています。
従来のWi-Fiでは、
端末A
↓
端末B
↓
端末C
と順番に処理する要素が強かったのに対して、Wi-Fi 6では複数端末を効率よく処理できます。
そのため、
スマホ4台
PC3台
テレビ2台
ゲーム機2台
IoT20台
といった家庭では、Wi-Fi 5よりWi-Fi 6の方が安定しやすくなります。
接続台数が増えると切断しやすくなる?
速度低下だけでなく、
Wi-Fiが突然切れる
接続済みなのにインターネットなしになる
再接続を繰り返す
といった症状が出る場合もあります。
ただし、これは単純に「台数が多い」だけが原因とは限りません。
むしろ、
ルーターのCPU性能
メモリ容量
DHCP処理
NATセッション数
Wi-Fiチップ性能
電波干渉
ファームウェア
などが関係します。
安価なルーターへ大量の端末を接続すると、ルーター側の処理能力が追いつかなくなり、接続が不安定になることがあります。
「最大接続台数100台」なら100台快適とは限らない
ルーターの仕様を見ると、
最大接続台数 64台
や、
最大100台
と書かれていることがあります。
しかし、
最大接続台数=快適に同時通信できる台数
ではありません。
例えば100台接続可能なルーターでも、
100台が同時に4K動画
を再生できるわけではありません。
最大接続台数は、
ルーターが管理可能な端末数
くらいに考えた方がよいでしょう。
IoT機器は台数が多くても影響が小さいことが多い
最近はスマート家電が増えています。
例えば、
スマート電球
温度センサー
スマートプラグ
Alexa
Google Home
エアコン
ロボット掃除機
などです。
これらは常時接続されていても、通信量自体は非常に少ないことがあります。
そのため、
IoT機器30台
より、
PC2台で大容量ダウンロード
の方がWi-Fiへの負荷が大きいケースも珍しくありません。
単純に接続台数だけを見て判断しない方がよいです。
監視カメラは要注意
IoT機器の中でも負荷が大きいのが監視カメラです。
例えばWi-Fiカメラが常時、
2Mbps
で映像を送信するとします。
5台あれば、
2Mbps × 5台
= 10Mbps
を常時使用します。
さらにクラウドへアップロードしている場合、上り回線も使います。
ホームルーターやモバイル回線では、下りより上りが遅いことが多いため、監視カメラが増えるとネット全体のレスポンスが悪くなる場合があります。
スマホのクラウドバックアップも意外に重い
スマホが複数台ある家庭では、
Googleフォト
iCloud
OneDrive
などのバックアップも影響します。
寝る前に家族全員のスマホがWi-Fiへ接続され、
写真
動画
アプリデータ
を一斉にアップロードすると、上り帯域をかなり使う場合があります。
すると、
Webページが開くのが遅い
ゲームのPingが悪化
ビデオ会議が不安定
という症状が出ます。
回線速度とWi-Fi速度は別物
ここも重要です。
例えばインターネット回線が、
100Mbps
しか出ない場合、
Wi-Fiが理論上、
1,200Mbps
に対応していても、インターネット通信は100Mbps以上にはなりません。
逆に、
光回線 1Gbps
でもWi-Fi環境が悪ければ、
30Mbps
しか出ないことがあります。
つまり、
インターネット回線
↓
ルーター
↓
Wi-Fi
↓
端末
の中で、一番遅い部分がボトルネックになります。
home 5Gのようなホームルーターではさらに注意
ドコモ home 5Gやモバイルルーターの場合、
携帯基地局
↓
ホームルーター
↓
Wi-Fi
↓
端末
という構成になります。
この場合、
基地局混雑
と、
Wi-Fi混雑
の両方が発生します。
例えばhome 5G自体が4G接続で、
下り50Mbps
しか出ていない状態で、5台が同時通信すれば、単純計算では1台あたり10Mbps程度しか使えません。
つまり、接続台数が増えたときの速度低下を考えるなら、
まず元回線が何Mbps出ているか
を確認する必要があります。
接続台数が多い家庭で改善する方法
接続機器が増えてきた場合、最も効果が出やすいのは、Wi-Fi 6以上のルーターへ変更し、2.4GHzと5GHzへ機器を分散し、電波が弱い場所にはメッシュWi-Fiやアクセスポイントを追加することです。
特に、
テレビ
PC
NAS
ゲーム機
のような据え置き機器は、有線LANへ移すだけでもかなり改善します。
Wi-Fiへ接続する機器そのものを減らせるからです。
有線LANにできるものは有線にする
Wi-Fiの混雑対策として意外と効果が高いのが有線LANです。
例えば、
デスクトップPC
テレビ
ゲーム機
NAS
を有線へ移せば、その分Wi-Fiのエアタイムが空きます。
特に4K動画を再生するテレビや、大容量ダウンロードを行うゲーム機は、有線化の効果が大きいです。
結局、何台までなら大丈夫?
家庭用として考えるなら、
接続だけなら数十台でも問題ないことが多い
です。
しかし、
10台、20台が同時に大量通信すると、速度低下や遅延が目立ち始める
と考えた方がよいでしょう。
さらに古いルーター、2.4GHz中心、電波状態が悪い環境では、もっと少ない台数でも問題が起きます。
反対に、
Wi-Fi 6/6E
高性能ルーター
有線バックホール
十分な回線速度
という環境なら、数十台接続していても快適に使えることがあります。
まとめ
Wi-Fiルーターへ接続する機器が増えても、
10台接続
→ 速度1/10
のように単純にはなりません。
重要なのは、
接続台数ではなく、同時にどれだけ通信しているか
です。
また、速度低下には、
元回線の速度
Wi-Fi規格
2.4GHz / 5GHz / 6GHz
電波状態
ルーター性能
同時通信台数
端末の通信速度
などが影響します。
接続台数が多くなったときに、
Wi-Fiが遅い
時々切れる
Pingが大きくなる
動画が止まる
といった症状が出るなら、単純に回線契約を速くするだけでなく、Wi-Fi側の構成も見直した方がよいでしょう。
特に効果が高いのは、
「Wi-Fi 6以上のルーターを使う」「据え置き機器は有線化する」「2.4GHzと5GHzへ分散する」
の3つです。
家庭内のWi-Fi接続機器が20台、30台と増えてきたら、回線速度だけではなく、家庭内ネットワーク全体の設計を考える時期なのかもしれません。
