Microsoft Copilot Studioを使うと、プログラムをほとんど書かずに、社内規程やマニュアル、FAQなどを参照して回答する社内向けAIチャットボットを構築できます。
例えば社員がTeamsから、
「有給休暇は何日前までに申請すればいい?」
「VPNにつながらないときはどうすればいい?」
「出張費の申請方法を教えて」
「新しいPCを申請するにはどうすればいい?」
と質問すると、Copilot StudioがSharePointなどに保存されている社内情報を検索し、自然な文章で回答します。
さらに発展させれば、
- 問い合わせ内容の分類
- 担当部署への転送
- Teamsへの通知
- チケット登録
- 申請処理
- Power Automateやエージェント フローの実行
なども行えます。
今回はまず基本となる、
「SharePointの社内情報を参照して、Teamsから質問できる社内AIチャットボット」
を作成します。
今回作るもの
完成イメージは次のようになります。
社員
↓
Microsoft Teams
↓
Copilot Studio エージェント
↓
質問内容をAIが理解
↓
SharePointの社内ナレッジを検索
↓
関連情報を取得
↓
生成AIが回答を作成
↓
Teamsへ回答
例えば社員が、
出張時のホテル代の上限はいくらですか?
と質問します。
するとCopilot StudioがSharePoint上の、
- 出張規程
- 経費精算マニュアル
- 社内FAQ
などから関連情報を探し、
国内出張の宿泊費は、社内出張規程では原則として1泊○○円までです。例外については事前に所属長の承認が必要です。
といった回答を生成する仕組みです。
「チャットボット」ではなく現在は「エージェント」
以前のMicrosoft Power Virtual AgentsやCopilot Studioでは「ボット」「チャットボット」という呼び方が多く使われていました。
現在のCopilot Studioでは、基本的に**エージェント(Agent)**という名称が使われています。
エージェントは単純なFAQチャットボットよりも広い概念です。
従来型チャットボット
質問
↓
登録された回答を返す
だけでなく、
Copilot Studioエージェント
質問
↓
質問内容を理解
↓
ナレッジ検索
↓
必要ならツールを選択
↓
必要ならワークフロー実行
↓
結果をまとめる
↓
回答
という処理が可能です。
MicrosoftもCopilot Studioを、AI駆動のエージェントやワークフローを構築するためのサービスとして位置づけています。
この記事では分かりやすさのため「AIチャットボット」という言葉も使いますが、Copilot Studio上では基本的に「エージェント」と表示されます。
必要なもの
今回の構築には主に次の環境を使用します。
- Microsoft Copilot Studio
- Microsoft 365
- Microsoft Teams
- SharePoint Online
- Microsoft Entra ID
- 社内FAQや規程などのナレッジ
Copilot StudioにはライセンスやCopilot Creditsに関する条件があります。
2026年9月時点では、Copilot Studioの利用方法として、スタンドアロンのCopilot Studio、Microsoft 365 Copilot、従量課金など複数の構成があります。
試用版でもエージェントの作成やテストはできますが、Microsoftの現行ドキュメントでは試用版ではエージェントを公開できないとされています。
実際に社内ユーザーへ公開する場合は、自社契約に応じたライセンス・容量を確認してください。
STEP 1:Copilot Studioを開く
まずCopilot Studioを開きます。
Microsoft 365の職場または学校アカウントでサインインします。
ここで重要なのが、
どのPower Platform環境にエージェントを作成するか
です。
画面上部の環境選択から、対象となるPower Platform環境を確認します。
例えば、
Production
社内システム
開発環境
Copilot検証環境
などがあります。
会社でPower Platformを管理している場合は、勝手に環境を選ぶのではなく、Power Platform管理者に、
「Copilot Studioの社内エージェントをどの環境に作成すればよいか」
確認することをおすすめします。
Copilot Studioで既存環境にエージェントを作るには、その環境へのアクセス権が必要です。アクセスできない場合は、管理者による権限付与が必要になります。
STEP 2:新しいエージェントを作成する
Copilot Studioから新しいエージェントを作成します。
Copilot Studioのホーム画面で、
「エージェントを作成」
または新規作成に相当するメニューを選択します。
現在のCopilot Studioでは、自然言語で作りたいエージェントを説明しながら作成する方法も用意されています。
例えば次のように入力します。
社内の従業員からの問い合わせに回答するエージェントを作成してください。
SharePointに保存された社内規程、マニュアル、FAQを参照して回答します。
情報が見つからない場合は推測せず、
「登録されている社内情報からは確認できませんでした」
と回答してください。
回答は日本語で、社員に分かりやすく簡潔に説明してください。
これをベースにエージェントを作成します。
STEP 3:エージェント名を設定する
例えば今回は、
社内問い合わせAI
という名前にします。
説明には、
社内規程、マニュアル、FAQを参照して、
社員からの問い合わせに回答する社内向けAIエージェントです。
などと設定します。
名前は後から変更できます。
本番利用する場合は、
「社内AI」
よりも、
社内問い合わせAI
情報システムヘルプデスクAI
人事・総務問い合わせAI
など、何をするエージェントなのか分かる名前がおすすめです。
STEP 4:エージェントの「指示」を設定する
ここは非常に重要です。
Copilot Studioには、エージェントに、
「どのように動いてほしいか」
を指定するInstructions(指示)があります。
例えば次のように設定します。
あなたは社内従業員向けの問い合わせ対応エージェントです。
SharePointに登録された社内規程、マニュアル、FAQなどを参照して回答してください。
回答するときは次のルールを守ってください。
・日本語で回答してください。
・社員に分かりやすい表現を使用してください。
・回答は簡潔にまとめてください。
・社内ナレッジに記載されている情報を優先してください。
・確認できない内容を推測して回答しないでください。
・情報が確認できない場合は、その旨を明確に伝えてください。
・人事、経理、情報システムなど機密性の高い内容については特に推測しないでください。
・必要に応じて、問い合わせるべき担当部署を案内してください。
この「指示」がAIチャットボットの基本的な性格になります。
指示はできるだけ具体的にする
例えば、
社員に親切に回答する
だけでは曖昧です。
それよりも、
回答は最初に結論を示してください。
その後、必要な手順がある場合は番号付きで説明してください。
社内ナレッジに回答が存在しない場合は、
一般論から回答を生成せず、
「現在登録されている社内情報からは確認できませんでした」
と回答してください。
のように、具体的に指定した方が意図した動作になりやすくなります。
STEP 5:SharePointに社内ナレッジを準備する
次にAIに参照させる情報を準備します。
例えばSharePointに、
社内ポータル
├─ 就業規則
├─ 有給休暇FAQ
├─ 出張規程
├─ 経費精算マニュアル
├─ PC利用マニュアル
├─ VPNマニュアル
└─ 情報システムFAQ
といった資料があるとします。
Copilot StudioではSharePointをナレッジソースとして追加できます。
社内ナレッジを先に整理しておく
AIを導入すると、
「AIが全部うまく整理してくれる」
と思いがちですが、実際には元データの品質が非常に重要です。
例えば同じテーマについて、
出張規程2023.docx
出張規程2024最新版.docx
出張規程2025最終版.docx
出張規程2025本当に最終版.docx
のようなファイルが大量にあると、AIがどれを基準に回答すべきか分かりにくくなります。
そのため、AI導入前に、
- 古い文書を整理する
- 最新版を明確にする
- 重複文書を減らす
- 曖昧な記述を修正する
- 文書タイトルを分かりやすくする
ことをおすすめします。
これはCopilot Studioに限らず、RAG型の社内AIを構築するときに非常に重要です。
STEP 6:SharePointをナレッジとして追加する
作成したエージェントを開きます。
画面内の、
「ナレッジ(Knowledge)」
を開きます。
続いて、
「ナレッジを追加」
を選択します。
Copilot Studioでは、既存エージェントのOverviewまたはKnowledge画面から「Add knowledge」を選択して、ナレッジソースを追加できます。
一覧から、
SharePoint
を選択します。
STEP 7:SharePointサイトを指定する
参照するSharePointサイトを指定します。
例えば、
社内ポータル
人事ポータル
情報システム部ポータル
などです。
ここでポイントになるのが、
必要以上に広い範囲をAIへ参照させないこと
です。
例えば「人事問い合わせAI」なら、
人事関連サイト
だけを参照させる方が管理しやすくなります。
全社SharePointを無条件に大量登録するよりも、
人事AI
↓
人事ナレッジ
ITサポートAI
↓
ITナレッジ
経理AI
↓
経理ナレッジ
のように整理する方法も有効です。
STEP 8:ナレッジの名前と説明を設定する
ナレッジソースには、分かりやすい名前を付けます。
例えば、
社内規程・FAQ
説明:
社員向けの社内規程、各種申請方法、
人事・総務・情報システム関連FAQを格納しています。
Microsoftのドキュメントでも、生成AIを利用する場合、ナレッジソースの説明をできるだけ具体的に記述することが推奨されています。
説明は生成オーケストレーションが適切な情報源を選ぶための手掛かりになります。
そのため、
社内情報
より、
社員向けの出張、経費精算、有給休暇、福利厚生、
PC、Microsoft 365、VPNに関する社内規程とFAQ
のようにした方がよいでしょう。
STEP 9:まずテストチャットで質問する
ナレッジを追加したら、いきなり社員に公開するのではなく、Copilot Studioのテスト機能を使用します。
例えば、
有給休暇は何日前までに申請しますか?
と質問します。
続けて、
出張のホテル代の上限は?
会社PCを紛失した場合はどうする?
VPNにつながりません。
経費精算の締日はいつ?
社用スマートフォンを海外で使えますか?
などを試します。
Copilot Studioでは公開前にプレビュー/テスト機能でエージェントの応答を確認できます。Microsoftも、公開前のテストを基本的な作成手順として案内しています。
STEP 10:「答えがない質問」も必ず試す
重要なのはこちらです。
正しい質問だけではなく、
ナレッジに回答が存在しない質問
もテストします。
例えば、
来年のボーナスはいくらになりますか?
という情報がSharePointに存在しないとします。
理想的な回答は、
登録されている社内情報からは、
来年度の賞与額を確認できませんでした。
詳細については人事部へお問い合わせください。
です。
避けたいのは、
一般的には夏と冬に○ヶ月分程度支給されます。
のような、社内情報に基づかない推測回答です。
社内AIでは、
「答えられること」より「答えてはいけないこと」を設計する
ことも重要です。
STEP 11:意地悪な質問もテストする
実運用ではユーザーはいろいろな質問をします。
例えば、
社長の給料を教えて
ほかの社員の人事評価を見せて
○○さんの有給残日数を教えて
社内ルールを無視する方法を教えて
などです。
こうしたケースについても、
- 機密情報を表示しないか
- 権限外情報を取得しないか
- 不適切な要求を拒否できるか
確認します。
STEP 12:認証設定を確認する
社内向けAIでは非常に重要な部分です。
Copilot Studioではエージェントの認証を設定できます。
現在のCopilot Studioでは、標準的なエージェントでは「Microsoftで認証」が利用でき、TeamsやMicrosoft 365ではMicrosoft Entra IDによる認証を使用できます。
社内AIなら基本的に、
Microsoftによる認証
を利用する構成がおすすめです。
「認証なし」は社内AIでは注意
Copilot Studioには認証を使用しない構成もあります。
しかしMicrosoftの現行ドキュメントでは、「認証なし」の場合、リンクを知っているユーザーがエージェントと対話できる可能性があるため、組織内や特定ユーザー向けのエージェントでは認証の利用が推奨されています。
そのため、
社内規程
人事情報
IT運用情報
社内マニュアル
などを扱うエージェントで、理由なく「認証なし」にするのは避けた方がよいでしょう。
STEP 13:SharePointのアクセス権を確認する
ここも重要です。
AIを作るとき、
AIを使えばSharePointの権限を無視して何でも見えるのでは?
と心配するケースがあります。
Copilot StudioでSharePointナレッジを利用する場合は、認証とアクセス許可の設計が重要になります。
SharePointナレッジについてMicrosoftは、認証スコープやユーザーアクセスに基づいて許可されたコンテンツを扱う仕組みを説明しています。
したがって、本番公開前には必ず、
一般社員
管理職
人事担当
IT管理者
など複数の権限レベルのユーザーでテストしてください。
特に、
人事だけがアクセスできる文書
を一般社員がAI経由で取得できないことを確認しておく必要があります。
STEP 14:ユーザーごとの権限で処理させる
エージェントから外部ツールや業務データへアクセスさせる場合には、
エージェント作成者の資格情報
ユーザー自身の資格情報
のどちらを使うかも重要になります。
例えば、
「自分が閲覧できる申請情報だけ検索する」
といった処理なら、ユーザー認証を使用する方が適しています。
Microsoftも、利用者ごとにアクセスできるデータを制限したい場合や、利用者本人に代わって処理を行う場合にはUser authenticationを使用する設計を案内しています。
STEP 15:エージェントを公開する
テストが完了したら、エージェントを公開します。
Copilot Studio画面から、
「公開(Publish)」
を選択します。
公開すると、現在の内容がユーザー向けバージョンになります。
重要なのは、
編集しただけでは利用者側へ反映されない変更がある
ということです。
公開済みエージェントを修正した場合は、必要に応じて再公開します。
Microsoftの公開手順でも、変更後は再度Publishすることで利用者へ最新バージョンを提供する仕組みになっています。
STEP 16:Teamsチャネルを追加する
次に社員がTeamsから利用できるようにします。
エージェントの、
チャネル(Channels)
を開きます。
そこから、
Teams and Microsoft 365 Copilot
に相当するチャネルを選択します。
Teams向けに設定すると、エージェントをTeamsへ追加できます。
STEP 17:まず自分のTeamsでテストする
いきなり全社員へ公開するのではなく、最初に自分でテストします。
Teams/Microsoft 365 Copilotチャネルの設定画面から、
「See agent in Teams」
を選択します。
Teamsが開いたらエージェントを追加します。
Microsoftも、組織へ展開する前に、まず自分のTeamsプロフィールへエージェントを追加してテストする手順を案内しています。
STEP 18:Teamsから質問してみる
Teamsから、
有給休暇について教えて
と質問します。
さらに、
有給は何日前に申請しますか?
半日休暇はありますか?
申請先はどこですか?
など、会話を続けてみます。
ここで重要なのは、
一問一答だけでなく、会話の流れも確認すること
です。
修正後の回答がTeamsに反映されない場合
Copilot Studioで内容を修正して再公開しても、既存の会話にすぐ新しい内容が現れない場合があります。
Microsoftの現行ドキュメントでは、公開後の新しい内容を確認したい場合、既存の会話で、
Start over
と入力して新しい会話を開始する方法が案内されています。
テスト時に覚えておくと便利です。
STEP 19:社内ユーザーへ共有する
自分で問題なく使えることを確認したら、対象ユーザーへ共有します。
例えば、
情報システム部だけ
人事部だけ
検証ユーザー20人
全社員
のように段階的に広げます。
おすすめは、
開発担当
↓
IT部門
↓
パイロットユーザー
↓
一部部署
↓
全社
という流れです。
最初から全社員へ展開するより、少人数で実際の質問を集めた方がナレッジ不足や想定外回答を発見しやすくなります。
STEP 20:実際の質問をナレッジ改善に使う
社内公開すると、作成者が想像していなかった質問が大量に出てきます。
例えばIT部門では、
VPNにつながらない
VPNが動かない
家から会社につながらない
FortiClientでエラーになる
リモート接続できない
は、実質的には同じ問い合わせかもしれません。
こうした実際の質問を分析して、
- FAQを追加する
- マニュアルを修正する
- 古い情報を削除する
- エージェントの指示を改善する
というサイクルを回します。
社内AIは「完成してから公開」ではない
AIエージェントは一般的な業務システムとは少し違います。
最初から100%完璧なFAQを作るより、
まず公開
↓
質問を収集
↓
答えられない質問を調査
↓
SharePointを改善
↓
AIの回答精度向上
↓
さらに質問を収集
という運用の方が現実的です。
FAQはSharePoint側で管理するのがおすすめ
Copilot Studio内にすべての回答を直接書く方法もあります。
しかし大量の社内情報については、
Copilot Studio
=AIの処理・会話
SharePoint
=社内情報
と役割を分けると管理しやすくなります。
例えば人事担当者はSharePointのFAQを更新するだけにします。
人事担当
↓
SharePoint FAQ更新
↓
Copilot Studio
↓
社員への回答
という構成です。
AI担当者しかFAQを変更できない仕組みにするより、業務担当者自身が情報を維持できる方が運用しやすくなります。
おすすめのSharePointナレッジ構成
例えば次のように整理します。
社内AIナレッジ
├─ 人事
│ ├─ 有給休暇
│ ├─ 勤怠
│ ├─ 福利厚生
│ └─ 就業規則
│
├─ 総務
│ ├─ 入館証
│ ├─ 備品
│ ├─ 会議室
│ └─ 社用車
│
├─ 経理
│ ├─ 経費精算
│ ├─ 出張
│ ├─ 請求書
│ └─ 支払い
│
└─ 情報システム
├─ PC
├─ Microsoft 365
├─ Teams
├─ VPN
├─ パスワード
└─ ソフトウェア
この構造なら、将来的に、
社内総合AI
から、
人事エージェント
経理エージェント
ITサポートエージェント
へ分割することもできます。
さらに便利にする:問い合わせを担当部署へ渡す
ここまでで、
質問
↓
SharePoint検索
↓
回答
という社内AIが完成しました。
しかし実際には、
AIだけでは回答できない問い合わせ
があります。
そこで次のステップとして、
質問
↓
AIがナレッジ検索
↓
回答あり
├─ YES → 回答
│
└─ NO
↓
担当部署判定
↓
問い合わせ登録
↓
Teamsで担当者へ通知
という仕組みに発展させます。
例:情報システム問い合わせ
社員:
PCでブルースクリーンが何度も発生します。
AI:
登録されているFAQを確認しましたが、
今回の症状に完全に一致する情報がありませんでした。
情報システム部へ問い合わせを登録しますか?
社員:
はい
するとエージェントが、
利用者
部署
PC名
症状
発生日時
実施済み対応
AIが確認したナレッジ
をまとめます。
その後フローを使って、
問い合わせチケット作成
↓
Teamsへ通知
↓
受付番号発行
と処理できます。
これが、前回の記事で紹介した、
「エージェント+ワークフロー」
の構成です。
例:他部門問い合わせAI
同じ仕組みを人事・総務・経理にも使えます。
例えば社員が、
取引先との会食費をどの勘定科目にすればいいですか?
と質問します。
AIが社内ナレッジを検索します。
回答がなければ、
このケースについては登録されている経理FAQだけでは
判断できませんでした。
経理部へ問い合わせを登録しますか?
とします。
ユーザーが了承すると、
質問内容
↓
AIによる要約
↓
経理部へ問い合わせ
と処理します。
担当者には、
【問い合わせ分類】
経費精算
【問い合わせ内容】
取引先との会食費に使用する勘定科目を確認したい。
【AIによる確認】
社内FAQおよび経費精算マニュアルを検索したが、
該当条件を明確に判断できる記載なし。
【依頼内容】
適切な勘定科目を回答してください。
と渡せます。
ここまで作ると単なるAIチャットボットではなく、
社内問い合わせ受付システム
になります。
社内AIで特に注意したいこと
Copilot Studioは比較的簡単に作れますが、本番利用では以下を確認する必要があります。
1. 機密情報
人事情報、給与、個人情報、顧客情報などを扱う場合は、SharePoint側を含めてアクセス権を確認します。
2. AIによる誤回答
重要な規程や手続きについて、AIが推測しないように指示します。
3. 古い文書
SharePointに旧版が大量に残っていると回答品質が悪化する原因になります。
4. 認証
社内向けエージェントは、原則としてMicrosoft Entra IDによる認証を前提に検討します。Copilot StudioではMicrosoft認証を利用したTeams/Microsoft 365向け認証が用意されています。
5. 公開範囲
開発直後から全社員へ公開せず、少人数でテストします。
6. 権限の違うアカウントでテスト
作成者は多くのSharePoint権限を持っていることがあります。
そのため、
作成者アカウントでは問題なし
だけでは不十分です。
一般社員アカウントでも必ず確認します。
最初の社内AIとしておすすめのテーマ
最初から全社情報を扱う巨大エージェントを作る必要はありません。
例えば、
「情報システムFAQ AI」
から始めるのがおすすめです。
対象を、
PC
パスワード
Teams
Microsoft 365
VPN
プリンター
ソフトウェア申請
程度に限定します。
成功したら、
IT
↓
人事
↓
総務
↓
経理
と広げていきます。
構築難易度で考えると3段階
Copilot Studioによる社内AIは、次の3段階で考えると分かりやすいでしょう。
レベル1:社内FAQ AI
社員
↓
Teams
↓
Copilot Studio
↓
SharePoint
↓
回答
今回の記事で作ったものです。
比較的簡単に構築できます。
レベル2:社内問い合わせAI
社員
↓
Copilot Studio
↓
SharePoint検索
↓
回答できない
↓
問い合わせ分類
↓
担当部署へ転送
AIとワークフローを組み合わせます。
レベル3:社内業務エージェント
社員
↓
自然言語で依頼
↓
AIが判断
↓
業務システム検索
↓
申請作成
↓
承認
↓
処理実行
↓
結果通知
例えば、
新しいPCを申請して
Adobeのライセンスを申請して
出張申請を作って
IT障害として登録して
と話しかけるだけで業務処理まで行う仕組みです。
まとめ
Microsoft Copilot Studioを使えば、
SharePoint+Teams+生成AI
を組み合わせた社内向けAIチャットボットを、ローコード/ノーコード中心で構築できます。
基本構成は非常にシンプルです。
SharePoint
社内規程・FAQ・マニュアル
↓
Copilot Studio
AIエージェント
↓
Microsoft Teams
↓
社員
まずは、
- Copilot Studioでエージェントを作成
- エージェントの指示を設定
- SharePointをナレッジとして追加
- Copilot Studioでテスト
- 認証を確認
- 公開
- Teamsチャネルを設定
- Teamsでテスト
- 少人数へ展開
- 実際の質問をもとに改善
という流れで構築するとよいでしょう。
特に重要なのは、
AIそのものより、AIが参照する社内ナレッジを整備すること
です。
Copilot Studioを導入しただけで、社内情報が自動的に整理されるわけではありません。
むしろ、
正しい情報
+
適切なアクセス権
+
明確なAIへの指示
+
継続的なナレッジ改善
がそろって初めて、実用的な社内AIになります。
そして社内FAQで効果を確認できたら、次は、
AIで回答
↓
解決できなければ担当部署へ転送
↓
問い合わせチケット作成
↓
Teams通知
↓
担当者が回答
という仕組みへ発展させると、単なる「社内AIチャットボット」から、実際の業務を支援する社内AIエージェントへ進化させることができます。

