午前零時公開予定の記事が、予約済みのまま止まっていた。手動で開けばサイトは正常で、WordPressにも致命的なエラーはない。瀬名は予約時刻を直そうとしたが、律は実行されなかった仕組みを調べた。
低トラフィックのサイトでは、アクセスを契機に動くWP-Cronが予定どおり起動するとは限らない。さらに構成ファイルでは `DISABLE_WP_CRON` が有効なのに、代わりとなるOS側の定期実行が移行時に抜けていた。
二人は重複実行を避けるロックを含め、WP-CLIで期限到来イベントを定期処理するtimerを設定した。テスト用の予約記事を作り、公開時刻、投稿状態、キャッシュ反映、失敗通知まで確認する。
予定時刻になると、誰もサイトへ訪れていなくても記事は公開された。律は監視画面の時刻を見て、「待っているだけでは始まらない仕組みもあります」と言った。
瀬名は朝食の予定を思い浮かべたが、会話を無理にそちらへ運ばなかった。「だから、約束を動かす仕組みと、動かなかったときの通知を作る」
律はテスト結果へ丸をつけた。「朝の予定は、監視しなくても覚えています」
それで十分だった。信頼できる予約には、何度も確認メッセージを送る必要はない。
人物紹介
瀬名悠真
- 男性、30代
- サーバ運用・インフラ担当
- 手は動くが、初動で少し焦りやすい
久坂律
- 女性、30代
- 監視、自動化、ログ解析、運用設計に強い
- 冷静で、原因調査の順序を大事にする
